J. Neurophys.

宇宙空間での醤油の変質及び動物に対するその影響


Alecsandr I. Moore, Ivan S. Oparin, & Inori E. Kovaitzsky
ソビエト連邦科学アカデミー宇宙科学研究所

概要昨年、宇宙での248時間の生活を送りソビエトに帰還した同志、ミハエル宇宙飛行士には通常以上の神経系の発達が観察された。同時に宇宙実験を行った他の飛行士よりも筋肉の衰えが少なく、帰還後知覚神経ならびに運動神経の反射速度が増していることが判明した。今回、我々はこの肉体変容の原因が醤油にあることを突き止めた。宇宙空間に存在した醤油は通常の醤油とは明らかに生物に与える効果が異なる。我々はこの事実を一連のマウス学習実験により確認した。あらゆる証拠から、宇宙に存在した醤油はマウスに対し学習効果向上の効果を与えたのである。また、この効果は醤油に含まれるタンパク質の変質によるものと強く示唆される結果を得た。また、この効果はおそらく学習効果だけでなく、筋組織の発達をも促す。この様な醤油の変化とそれが生物に与える影響を「宇宙醤油効果」と名付けた。

結果:宇宙で時間を過ごした人体には様々な影響が現れる。重力が体に働かないというだけで、骨からはカルシウムが血液中に流出し、筋肉は衰えて細くなる。これらの影響を少しでも防ぐために、宇宙では宇宙飛行士達は日々運動を繰り返している。しかし、我々が知る限り、現在までのところ神経系への影響は認められていなかった。ミハエル飛行士に見られた徴候はこれまでの知見を覆すものであり、宇宙での何らかの活動が神経系の活動の向上につながると考えられていた。また、同飛行士のその後の追跡調査により、彼は同時に飛行を行った他の飛行士に比べ筋肉の衰弱が少なく、記憶力が向上したとの結果が得られている。対照を考えれば、単純に宇宙飛行が人体に好影響を与えたとは考えられず、もちろんこの現象はミハエル飛行士の体質あるいは血統によるものとも考えられるが、彼らの中でミハエルだけが宇宙で醤油を使用していたという事実も見逃すことはできない。非常に稀ではあると思われたが、我々は宇宙空間を旅した醤油を用いて、これがマウスに与える影響を調査した。

宇宙に持ち出され、しかる後地上に帰還した醤油(以下「宇宙醤油」)を混入させた餌を与えられたマウスは、対照群である普通の醤油を混入させた餌を与えたマウスに比べ若干体が大きく、体重で比較した場合、宇宙醤油摂取マウスは通常醤油摂取マウスに比べ20%重い(n=38)。目に見えて骨格筋の発達が著しく(図1A)、筋切断面における筋繊維密度を計測すると、繊維染色法での観察から分かるように宇宙醤油を摂取したマウスの筋組織は対照群のそれに比べ、筋繊維の密度が高い(図1B)。また、重量計測による繊維密度の定量によっても同様のことが言えた(データは示さない)。これらはミハエル飛行士に見られた筋組織の発達と同様の効果と推測される。

図1、 宇宙醤油または通常醤油を餌に混入させ、飼育したマウスの比較。A:一日あたり3gの宇宙醤油(a)または同量の通常醤油(b)を与え、マウスを20日間飼育した。それらのマウスの前肢部分の筋肉の写真。宇宙醤油を与えたマウスは顕著に筋肉が発達する。B:同じ条件で飼育したマウスの各種筋肉の凍結切片を作成し、筋繊維染色法で染色したもの。
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次いで、宇宙醤油および通常の醤油を混入させた餌を与えたマウスによる学習効果の比較である。ここでは一般的な水迷路学習と、明暗電気箱学習の二通りの学習実験を行った。図2に示されるように宇宙醤油摂取群は水迷路学習で、通常醤油群に対して高い学習効率を示した。通常醤油群がゴールに到達するまでの時間が20秒を下回るためには学習試技数が平均35回以上必要であるのに対し、宇宙醤油群では平均17回で済んだ。宇宙醤油群では学習効果は概ね25回でプラトーに達し、それ以上の時間の短縮は見られなかった。このプラトーでの必要時間は通常醤油群のプラトーでの必要時間とは異なると言えない。さらに同様の結果は明暗電気箱学習でも確認された(データは示さない)。つまり宇宙醤油の摂取により通常よりも高速度の学習が行われると考えられる。

図2、 宇宙醤油または通常醤油を摂取したマウスが水迷路を脱出するのに必要とした時間の経過。黒四角が通常醤油、黒丸が宇宙醤油をそれぞれ摂取したもの。宇宙醤油を摂取したマウスは必要時間の短縮が通常醤油を摂取したマウスと比較して短く、学習能力が高いことが示される。なお、ここで示す試技数とは、1日の間に5回マウスを水迷路に入れ、脱出に必要とする時間の平均を計ることを1試技とした。また、1日には最大で1試技とし、マウスは各々5匹を使用した。
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たしかに醤油がこの学習効率上昇の鍵を握っていることを証明するため、我々は宇宙に様々な調味料を持ちだし、それらが与える学習効果への変化を計測することにした。特に醤油に近いものを選び、塩、日本より輸入した味噌(ペースト状の大豆と塩の混合物)、及び砂糖、胡椒の4種を醤油と比較した(図3)。今回選んだ宇宙調味料では、宇宙醤油のような学習効果の向上は見られなかった。味噌のように組成がほとんど醤油に近いものを用いれば、若干の学習効果の向上が認められるのではないかと予測していたにもかかわらず、全く認められなかった。醤油以外の調味料では対照群である調味料を与えないものや無処理の調味料を与えたものと同程度の学習効果であり、有意な上昇は見られなかった。これ以降様々な調味料を宇宙に経験させ、マウスに与えている。現在のところ予備的な結果であるがが学習効果向上の能力を持つ調味料は得られていない。こちらも明暗電気箱学習でも同様の結果を得た(いずれもデータは示さない)。このことから、現在までただ醤油だけが宇宙に持ち込むことにより何らかの生体への影響力を有するようになると言えるだろう。

図3、 各宇宙調味料を摂取したマウスが水迷路を脱出するのに必要とした時間の経過。黒丸が醤油、黒四角が塩、黒菱形が砂糖、白四角が味噌、白丸が胡椒、白菱形は対照として用いた通常醤油をそれぞれ摂取したもの。様々な宇宙調味料に対し、ただ宇宙醤油だけがマウスの学習効果を高めていることが示される。試技数の定義は図2のものと等しい。
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ここまでで、宇宙醤油がマウスに対し学習効果向上の影響を与えていることは疑いのないこととなった。続いて、宇宙醤油のいかなる成分がこのような影響を有しているのかを調べることとした。そこで宇宙醤油を各種有機物の分解酵素で処理し、各処理済み宇宙醤油をこれまでと同様にマウスに与え学習効果の変化を見ることとした。以前の生体情報物質検出の際に行われたように、DNA分解酵素、RNA分解酵素、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、及び糖質分解酵素で処理した醤油をマウスに与えた。図4Aに示すように、マウスの学習効果はタンパク質分解酵素処理した宇宙醤油を与えたとき、宇宙醤油を与えなかったマウスの学習能力と同程度であり、その他の分解酵素処理した宇宙醤油では未処理宇宙醤油と同程度の学習効果を持った。このことから、醤油に含まれるタンパク質が宇宙醤油効果である学習能力の向上を担っていると示唆される。このことを確かめるため、加熱処理により失活させたタンパク質分解酵素で処理した宇宙醤油を与え、この学習効果の変化を計った(図4B)。失活したタンパク質分解酵素で処理しても、宇宙醤油の学習能力向上の効果は失われない。すなわち、タンパク質分解酵素の作用により宇宙醤油効果が失われたことは明らかであり、このことからも醤油に含まれるタンパク質が宇宙醤油効果に重要な寄与を果たすことが示唆される。これら両者の実験についてもまた、明暗電気箱学習でも結果は同様であった(データは示さない)。

図4、 A:宇宙醤油を各種分解酵素で処理したものを摂取したマウスが水迷路を脱出するのに必要とした時間の経過。黒丸がDNA分解酵素、黒四角がRNA分解酵素、黒菱形がタンパク質分解酵素、黒四角が脂質分解酵素、白丸が糖質分解酵素、で処理した各宇宙醤油、白菱形が酵素による処理を行わなかった宇宙醤油をそれぞれ摂取したもの。タンパク質分解酵素で処理した宇宙醤油からは学習能力向上の効果が失われている。B:宇宙醤油を熱処理したタンパク質分解酵素、または熱処理を行わなかったタンパク質分解酵素で処理したものを摂取したマウスが水迷路を脱出するのに必要とした時間の経過。黒丸は熱処理したもの、黒四角はしなかったもの。熱処理により学習能力向上の効果が復帰する。試技数の定義は各々、図2のものと等しい。
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材料と方法:略

考察:宇宙空間は地上に対し未知の可能性を秘めていることは、疑う余地もない。今回の実験群によりその新しい可能性の一つが明らかにされた。今回の実験により宇宙において醤油はなんらかの変化をおこし、その変化はマウスに対し学習能力を向上させる効果を持つことが示された。このような宇宙における物質の変質という報告はなされていないが、今回行われた実験はその最初の報告と言える。
宇宙に存在したか否か、他の調味料との比較などからこの学習能力向上の効果を持つのは、宇宙空間に存在したことのある醤油だけであると判断される。現実として全ての調味料、あるいは物質に関して検定を行ったわけではないが、原材料が酷似している味噌が同様の効能を持たなかったことを考えると、醤油がこのような効果を持つのは原材料や製造行程に依存しているのではないと示唆される。もちろん、同様の効果をさらに強力に有する物質が存在しないとは言い切れないので、今後様々な物質について同様の検査を行うことが必要である。しかしながら、宇宙での醤油の変化とそれがもたらす動物への影響は疑いのない事実であり、この一連の醤油の変化、及びその影響を「宇宙醤油効果」と呼称することを提唱する。
さて、この醤油の素晴らしい効果であるが醤油に含まれるタンパク質に依存していることが分かる。今後は醤油に含まれるタンパク質の精製や濃縮などを試みることにより、いかなるタンパク質の所業が学習能力向上の効果をもたらすのかを調べることができるだろう。ただし、精製タンパク質が同様の効果を持つかは定かではなく、タンパク質以外の醤油の成分との結び付きが大事である可能性も無視できない。
さらに、宇宙でのこの醤油の変化をもたらす要因について考えてみる。この宇宙空間が醤油に対し与える地上と異なる効果として、無重力、真空、温度変化などが考えられる。現在、予備的なデータであるが、放射線照射済み醤油が若干の学習能力向上の効果をもたらす結果を得ており(S. C. Rencov et. al. 私信)、仮にこれが事実であれば、宇宙線などの放射線が醤油に重要な変化をもたらすと考えられる。放射線による醤油の変化で学習能力の向上が可能となるかは今後の課題であり、これを実証できれば地上での宇宙醤油製造が可能となる。
今回はマウスの学習効果を中心に測定を行ったが、マウスの筋組織に変化を起こすことも確認されており、またミハエル飛行士に起きた身体変化を考えると、人体に対し有害な変化はもたらされていない。つまり、宇宙醤油は安全かつ効率よく人体の可能性を切り開くことになることになるかも知れない。これは倫理的な問題もからむだろう。

謝辞:宇宙醤油を提供してくださった、国家宇宙機構推進委員会の方々に感謝致します。

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