くらわんか 駄々こねる子に あんぎらす

 安永年間の市井の俳人、伊藤文親(俳号は雨宋)の句である。極めて素朴に情景を詠っただけの句であるのだが現代となってはこの句も通じにくくなっているようだ。

 以前、学生にこの句を見せ感想を求めたところ「季語がないではないか」「あんぎらすとは何のことだと」などと矢継ぎ早に質問され、苦笑したことがある。

 「くらわんか」は夏の風物詩であるし、
 「くらわんか」には「あん」がつきものではないか。

 「くらわんか」とは、淀川の「食らわんか船」の俗称で本来は茶船とも呼ばれた。

 江戸時代、淀川では過書船と呼ばれる三十石船など乗合船が重要な交通機関であった。これらの乗合船の乗客に対して酒や食物などを売る煮売船があった。この煮売船が売り言葉として「酒くらわんか、あん餅くらわんか」などと呼号するところから、「くらわんか船」と呼ばれるようになったものである。

 「くらわんか船」は水上の乗合船に次々と近づき、酒や商品を売っていくのだが乗合船に素早く近づく操船には並ならぬ腕が必要であり、場合によっては大変危険ですらある。

 そこで、危険を避けるため、当時は「5品以下ではくらわんかを呼ぶべからず」 という定法があった。この定法に乗っ取り、乗客は多人数で注文をまとめてから、乗合船の船頭を介して「くらわんか船」を呼ぶ。それが淀川の夏の情景であった。

 この定法を知らない子供が「あん餅が欲しい」と「くらわんか船」に直接、注文してしまう。船頭を無視するという振る舞いは、当時重大なマナー違反であったのだが、子供相手では「くらわんか船」の売り子もそれを咎めるわけにはいかない。

 かといって、定法を破り、あん餅一個のために乗合船に近づくことは許されない。そこで、「あん餅が欲しい」と駄々をこねる子に、売り子は
「あん餅の”あん”が切れてしまったので、タダの餅しかありませんよ」と意味を込めて「あんぎらす」と通告し、子供の要求をかわしているのである。

 あんころ餅の「あん」が目当てであった子供は、「あん」がないのでは、駄々をこねる意味もなく、引き下がるしかない。

 すなわち、この句は、夏の「くらわんか船」の情景を詠み込むと共に、売り子が無知(イノセント)な子供の欲求をうまくかわしつつも、たしなめるといった、当時の常民社会と【社会の子供達】の在り様を自然に織り込んでいるのである。

 無知な子供に対して、怒るでも、無視するでもなく、子供の欲求を捉えつつもうまくかわす、売り子のその洒脱な振る舞いには、常民の成人としての知恵を垣間見る事が出来、その巧みさには憎らしさえ感ずる。

 冒頭の無知な学生の言を聞いたとき、私はただ苦笑するだけであったが、この「くらわんか船」の売り子であったら、どの様にかわし、たしなめてくれるのだろうか。そんな無責任な想像さえこの句は芳醇なものとさせてくれる。

 けだし佳句と言えよう。

 

 


アンギラス率低減問題で採択難航

【ニューヨーク28日=壇 宗綱】  国際環境秘密総会が27日に採択した「アンギラス21のさらなる実行計画」の策定をめぐり,最も激しい論議を呼んだのが先進国のアンギラス率低減問題であった.

 アンギラス率とは,環境破壊により殺害された爬虫類の怨恨が蓄積し,将来,巨大凶悪怪獣アンギラスとして出現する可能性を示したもの.歴史的に爬虫類への虐待が顕著な欧州地域においては,アンギラス率が慢性的に高く,爬虫類へ『情熱的な愛』を注ぐ等の具体的な対応策の実施による  アンギラス率低減が環境問題上の急務であった.

 欧州連合(EU)側は「アンギラスの出現が不明確な現状で,数値目標の決定はむしろ危険」と従来の主張を繰り返しているが,議長国をはじめとする途上国側も  「欧州ではすでに,ドラゴンもサラマンダーもバシリスクも絶滅しており爬虫類側が『ひどい恨み』を持っていることは明白.

 いつアンギラスが出現してもおかしくない状態にある.壊滅的状態の回避のために早期の数値目標の設定を」と強硬に対立.前総会においては,両者の調停に回っていた日本の代表団も,28日の本会議を前に 「恨みが『ひどい』という認識には同意できない,行き過ぎた表現ではないか」 と拒否する姿勢を示し,対立の構図はより深刻なものへと変化した.  日本代表団の態度の変化について,識者は「日本もエリマキトカゲを捨てた過去があり,爬虫類側に対し負い目がある今回の反発もその様な国民感情を汲んだものでは」 と指摘している.

 

 

 

NIFTYSERVE/FCOMEDY 嘘競演 お題「アンギラス」参加作品

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