ソイソースアーム・ジャック率いるジャック隊が中央研究所に侵入したのと同時刻。ソイソースレッグ・ホーク率いるホーク隊もまた中央研究所に近づいていた。
「ジャック隊が中央研究所に潜入!我々のターゲットはイノリ・フォックス・ジュニアのみだ!身柄確保の後、速やかに離脱する!」
隊員に指示を下すソイソースレッグ・ホーク。
ホーク隊は宇宙醤油で脚部を重点的に強化した宇宙醤油兵士で構成されており、その類稀な機動力により、数々の奪還・強奪作戦を成功させてきた部隊だ。
その栄光ある部隊にほころびが生じた。中央研究所から700メートルの地点で最後尾の隊員が進路から外れだしたのだ。
「!?…連絡あるまで一時待機。警戒を怠るな!」
異変を感じたソイソースレッグ・ホークは緊急停止し、隊員が離脱した地点へと引き返した。
「この匂いは?」
そこには既に隊員の姿は無かった。ただ、なにかとてつもなく良い匂いが倉庫の方から漂ってくる。その匂いは効しがたく、ホークは倉庫の内部に歩を進めた。そこには離脱したはずの隊員が転がっている?
「アイヤー。軍人さんまたきたネ。」
そこには何故かマクドナルドのカウンターがあり、東洋人らしき恰幅の良い老人が、マクドナルド店員のコスチュームを着て立っていた。なんとも似合っていない。
「S'S(ダブルエス)か!?」
ホークは銃を構え、東洋人に狙いをつける。
しかし、東洋人の老人は臆することも無く手元のトレイをホークに見せ、薦める。
「チキンマックナゲットはいかがでしょうか?」
奇妙な老人のマニュアル通りのトーク。だが、そのチキンマックナゲットはとてつもなくうまそうに見えた。
何故だ!?マクドナルドはこんな変な老人を雇うのか?そもそも何故、キッチョーアンのプラントマクドナルドのカウンターがあるのか?おかしい。なにかがおかしい!
ホークが戸惑っている間に、誰かがそのチキンマックナゲットに飛びついた。ホークが待機を命じたはずの隊員だ。隊員はチキンマックナゲットをほおばるとビクリと動き、次のマックナゲットに手を伸ばした。また一つ、また一つ…スピードはどんどんと上がってゆく…そして隊員たちはものすごい速さでナゲットを口に運び、隊員達はチキンマックナゲットの奪い合いを始めたのだ!いつもは冷静なはずのギルバート副隊長も先を争ってチキンマックナゲットに手を伸ばしている。
東洋人の老人はその光景をさも嬉しそうに眺めている。
「総員退却!待機ポイントまで引き返せ!」
ホークは必死で命令を下すが、誰一人として命令に従おうとはしない。チキンマックナゲットをむさぼるばかりだ。危険を感じ、再び老人に銃を構えるホークの足元に、奪い合いから漏れたチキンマックナゲットが一つ転がってきた。
<このチキンマックナゲットは危険だ!>
脳内に響く警告とは裏腹に、ホークはチキンマックナゲットに手を伸ばし、食べてしまった!
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
うまい。うますぎる!ただ平凡な鶏肉を平凡に揚げただけの料理が何故こんなにうまいのか?いや、うまいなどと言う言葉では表しきれない。正に超越旨みだ!ホークもまた旨みに突き動かされ、次のチキンマックナゲットを捜し求めていた。
「軍人さんはどうも欲張りアルネ」
老人はうんざりぎみで背後からマクドナルドの紙袋を山ほど取り出した。
あの紙袋の中にうまいハンバーガーがある!そう直感した隊員たちはわれ先に紙袋の奪い合いを始めた。そして、隊長のホークもまたその高機動力で紙袋を奪取した。世界最速の機動力が無駄に使われた瞬間だ。
ホークは紙袋を破く手間も惜しいのか、紙袋のままチーズバーガーやマックフライポテトにがっつき始めた。
「紙が…紙が邪魔なんだよぉぉぉ!」
ホークは喜びとも悲しみともつかぬ表情を浮かべながら、食べつづけていた。
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十数分後、そこには文字通り腹が裂けるまで食べつづけたホーク隊隊員たちの瀕死の姿があった。彼らは瀕死になってもなお、マックフライポテトを求めつづけていた。
「フォフォフォ…マクドナルド・ウー支店はいつも大盛況ネ」
東洋人の老人は嬉しそうにつぶやくと瀕死のホーク隊を放っておいて倉庫を後にした。
その老人こそ、醤油トライデント・料理部門統括ウー老師!